第29話 2024年 釣行記 ①

待ちに待った今年初めての釣行です。 期待と不安で迎えたこの日、思わぬ展開となりました。 夜明けとともにいつもの川へ入渓。 30分ほどして緩やかな瀬で、エルクヘアカディス13番に反応があり、小振りのアマゴがかかりましたが、バラしてしまいました。 気…

第28話 一番大切なこと

自然の渓流で釣りをする上で、一番大切なことは何か? ある人は、沢山の魚を釣ること、またある人は、尺を超える大物を釣ることと答えるかもしれません。 私にとって一番大切なことは、何をおいても釣りに行った先から、無事に帰ってくるということです。 自…

第27話 シャッターチャンス

釣った魚をできるだけきれいに写真に納めて、いつまでも残しておきたい、そして時々その写真を見て当時の思い出に浸りたい。 それもフライフィッシングの大きな楽しみの一つだと思います。 海釣りの人が、魚拓を取って残しておくのと少し似ているかもしれま…

第26話 マイ・フィールド

誰にでもそれぞれ好きな自然の風景があります。 海が好きな人の中には、海を見ていると自分の悩みが小さく思えて元気づけられるとか、またある人は、海に沈んでゆく夕日を見て、その美しさに感動し、涙ぐんだりします。 私は海を見ると、足が届かない水深の…

第25話 いつもとは違う川で

ここ10年程、毎年同じ川に通いつめ釣りを愉しんでいましたが、この年、ほかの渓流に行って釣りをしてみたいという思いが芽生え、この日はいつもより少し遠くの渓流まで足を延ばしました。 岐阜の北の方に位置する庄川は魚の放流量も多く、渓流釣りのメッカで…

第24話 ニンフフィッシング

今回はニンフフィッシングです。 フライフィッシングといえば、ドライフライフィッシングというイメージが圧倒的に強いかと思いますが、フライフィッシングを始めてから2年間ぐらいは、管理釣り場のニジマスをひたすらニンフフィッシングで釣っていました。…

第23話 ウエットフライフィッシング

ウエットフライフィッシングって難しくないですか? 写真のイワナは、私にとって唯一自然の渓流で、ウエットフライで釣れた魚です。 フライフィッシングを始めたころ、ウエットフライフィッシングというのは、ある程度川幅があって平坦な里川で、対岸に向か…

第22話 イワナが歩く

イワナが歩く? 「そんな馬鹿な。」 「だってイワナって魚でしょ?」 イワナのことを深く知るまでは、そう思っていました。 でも、イワナって本当に歩くんですよね。 正確にいうと、歩くというよりは、蛇のように体をくねらせて這っていくといった方がいいか…

第21話 思惑通り④

思惑通りに釣れたイワナ、第4回目の最後はいろんな条件が重なった少し複雑な場所で釣れたイワナです。 ここは、大きな石に囲まれ小さなプール状になっていて、右側の大きな石の陰になっているところが魚の付き場です。 写真には写っていませんが、手前に川…

第20話 思惑通り③

思惑通りに釣れたイワナ、第3回目は対岸の巻き返しに潜んでいたイワナです。 巻き返しはイワナ釣りにおいて、最も重要視しないといけない場所です。 2枚目の写真の右上にある巻き返しが狙った場所です。 前回の対岸にある落ち込みの肩と同様に、手前に白泡…

第19話 思惑通り②

思惑通りに釣れたイワナ、第2回目は少し難易度の高いところに潜んでいたイワナです。 対岸にある落ち込みの肩です。 落ち込みの肩もイワナの付き場として見逃せない場所です。 ただ、私にとって落ち込みの肩はいまだに苦手意識があり、難易度が高い場所の一…

第18話 思惑通り①

フライフィッシングにおいて、魚を釣り上げるまでの過程を思い描き、その思惑通りに釣れた時の喜びは大きいものです。 現実にはなかなか思い通りにはいかないものですが・・・ これから4回にわたってご紹介するのは、思惑通りに釣れてくれた数少ないイワナ…

第17話 イワナの棲み家

イワナの棲み家として最も重要と思われるのが巻き返しです。 巻き返しは、水深もあって流れもゆっくりで、イワナが身を隠しながら危険を冒すことなく、水中から流れてくる水生昆虫を見つけて捕食しやすいということでしょう。 特に木の陰に隠れていたり、大…

第16話 セオリー通り

白泡の切れ目を狙え! フライフィッシングを始めたばかりのころ、入門書や入門ビデオでいやというほど教えられたドライフライフィッシングのセオリーの一つです。 渓流魚は外敵に見つからないように白泡の下に身を隠し、白泡の立っていない水面を見ながら流…

第15話 双子イワナ

イワナという魚は個体ごとに個性があって、体色・体の模様がそれぞれ違うことが多いというお話をしてきましたが、今回はそれとは逆です。 サイズも体色も体の模様も同じ、双子かと見紛うばかりの二匹のイワナを釣ったお話です。 この日は朝から雨模様で、入…

第14話 フグイワナ

またひとつ、個性的なイワナとの出会いがありました。 写真のイワナ、顔つき、体色、体の模様から見て、イワナに間違いないと思いますが・・・ この体型どう見ても岩魚ではないと思いませんか? 体のシルエットだけを見て、イワナって答えられる人はまずいな…

第13話 穴倉の黒子イワナ

以前第9話で、黒子のような真っ黒なイワナのお話をしましたが、今回はその後日談です。 写真のイワナ、以前に釣った黒子イワナによく似ています。 体色もそうですが、鰭の形もそっくりです。 サイズは27~28cmといったところで、以前のより一回り大きいで…

第12話 純白アマゴ

少し変わったアマゴを釣りました。 純白の半紙のような体に薄墨を落としたようなパーマーク、そしてオレンジの少し大きめの斑点、この川で育った野生のアマゴなのか稚魚放流のアマゴなのか判断に迷うところですが、何ともきれいなアマゴです。 普通アマゴの…

第11話 色白イワナ

前々回、全身黒ずくめの黒子のようなイワナのお話をしましたが、今回は白いイワナの話です。 以前ある方が書いた釣りのエッセイで白いイワナを釣った話を読んだことがありました。 そのイワナは本当に体が真っ白で目が真っ赤だったそうですが、私が釣ったイ…

第10話 悪魔イワナふたたび?

この年のちょうど2年前、この川で白目がない真っ黒な目をしたイワナと出会いました。 このブログの第1話で悪魔イワナという名前でご紹介したイワナです。 この日、それにそっくりなイワナが釣れました。 悪魔イワナふたたび? ひょっとして2年前と同じイ…

第9話 黒子イワナ

また1匹、個性的なイワナとの出会いです。 全身黒ずくめのイワナが釣れました。まるで黒子のようです。 目は真っ黒に見えますが、ちゃんと白目はありました。 こんなイワナを釣ったのも初めてです。 サイズは22~23cmいったところですが、体のわりに鰭が異…

第8話 尺イワナ

渓流釣りをする釣り人なら一度は釣りあげてみたい憧れの存在なのが尺イワナ、釣ろうとしてもなかなか釣れるものではありませんが、いつかは手にしたいですよね。 私もそんな日を夢見ていましたが、ホームグラウンドにしていた釣り場は小渓流であるため、それ…

第7話 放流アマゴ

前回の野生アマゴが釣れた川と同じ川で、別の日に起こった出来事です。 この日は入渓から間もなくアタリがあり、早々と一匹目が釣れました。 どこからどう見ても成魚放流のアマゴです。 鱗もムラがあり、朱点もぼやけた感じで、鰭も未発達です。 その上、何…

第6話 野生アマゴ

今回はアマゴの話です。 この日、前から気になっていた岐阜県でも有数な、アマゴ釣りの川を訪れました。 岐阜県山県市を流れるこの川は、漁協の管理が行き届いており、釣り人にやさしい川です。 入川口には手すり付きのコンクリートの階段があり、おまけにこ…

第5話 アメマス・・・?

最近、北海道の渓流で、アメマスやニジマスをフライフィッシングで釣っている、若い女性ユーチューバ―の動画を見つけました。 フライフィッシングを始めてまだ間もないということでしたが、キャスティングはなかなか様になっていて、大きな湖でもダブルハン…

第4話 黄金イワナ

釣りキチ三平という漫画、もちろん知っていますよね。 その中のフライフィッシング編で、ゴールデントラウトという魚が出てきました。 架空の魚だと思っていましたが、最近になってネットで検索したところ、カリフォルニアに実在していました。 パーマークが…

第3話 虫食いイワナ

ゴギという魚を知っていますか? ゴギとは中国地方にしかいないイワナの仲間です。 頭から背中そして尾にかけて虫食いのような模様があるのが特徴で、体長も20cm前後の個体が多い様です。 私のホームグラウンドの川でも、ゴギのような虫食い模様のイワナが釣…

第2話 やさしいイワナ

イワナほど釣り人にやさしい魚はいないと思う。 川の最上流に棲むため、谷の精霊とか幻の魚と言われ、釣るのが難しいとされています。 確かに釣るのは簡単ではありませんが、一度釣り損なっても、もう一度チャンスをくれる。 (魚にもよりますが・・・) と…

第1話 悪魔イワナ

今から10年程前、夏の終わりごろの出来事です。 その日もいつものように、いつもの渓流へ夜明けととも入渓し、釣り始めました。 木が覆いかぶさる渓流はまだ薄暗く、自分の頭も体もまだ冴えない状態でした。 入渓して間もなく、足元の川の流れに何気なくフラ…