フライフィッシングにおいて、魚を釣り上げるまでの過程を思い描き、その思惑通りに釣れた時の喜びは大きいものです。
現実にはなかなか思い通りにはいかないものですが・・・
これから4回にわたってご紹介するのは、思惑通りに釣れてくれた数少ないイワナたちです。
第1回目は対岸の大きな木と石の下にいたイワナの話です。
狙った場所は、手前に流心からくる白泡がたつほどの速い流れがあるため、メンディングなどを駆使し、フライを自然に流す必要があります。
第1投目は、狙う場所に向かい合う位置からキャストし、メンディングでラインを上流側へおいてフライを流しました、すると下から魚が浮上し、フライを捕食したように見えました。
すかさず合わせましたが、無情にもロッドには何の手ごたえもありませんでした。
捕食する瞬間に微妙なドラッグがかかって、魚がフライを食い損ねたように感じました。
魚は下に潜ってしまうことなく、依然として流れの筋で泳いでいました。
魚の姿が見えると俄然やる気になるものです。
この川では数少ない、サイトフィッシングのチャンスでした。
どう狙ったものか、思案の末、できるだけ違和感を与えないよう魚の視界にティペットが入らないように、フライ先行で鼻先まで送り込むのが最善と考えました。
キャスティングはもう少し上流に移動し、ラインを大きく上流側にU字型にカーブさせ、リーダーからティペット、フライまでを魚に対してできるだけ真っすぐになるように着水させ、フライを魚の鼻先まで上流から送り込むというイメージです。
頭の中でもう一度イメージを確認し、キャストするとイメージ通りにラインはU字型を描き、リーダーからティペット、フライもイメージ通りに着水しました。
フライはそのまま魚の鼻先へ向かって流れていきました。
すると、魚はためらうことなくしっかりとフライを咥え、合わせると今度は右手に確かな手ごたえが、心の中で思わず「やった」と叫んでいました。
ネットに納まった魚は20cmほどの綺麗なイワナでした。
何より自分が思い描いた通りに釣れたことがうれしい一匹でした。
サイトフィッシングの魚って絶対にものにしたいですよね。