第26話 マイ・フィールド

誰にでもそれぞれ好きな自然の風景があります。

海が好きな人の中には、海を見ていると自分の悩みが小さく思えて元気づけられるとか、またある人は、海に沈んでゆく夕日を見て、その美しさに感動し、涙ぐんだりします。

私は海を見ると、足が届かない水深の深さを思い、恐怖を感じ、沈んでいく夕日を眺めていると、何かの終わりを連想してしまい、寂しい気持ちになります。

同じ自然の風景を眺めても、感じ方は人それぞれです。

私にとっての好きな自然の風景は、山の奥の渓流です。

底石が透き通って見えるほど澄んだ流れを見ていると、心が洗われるようです。

川の流れる音も心地よく耳に響きます。

緑に囲まれた渓流にいると、いわゆるマイナスイオンのせいか、この上なく癒されます。

パソコンの画面を通して渓流の流れを見ているだけで、気が休まることさえあります。

前世は渓流魚だったのかもしれない。(なんて思ったりもします。)

フライフィッシングのフィールドは無限にあります。

管理釣り場から始まり、川の本流筋、渓流、山岳渓流、源流、湖、海、果ては海外のフィールドまで本当に幅広いです。

狙う魚も川ではヤマメ、アマゴ、イワナニジマス、ブラウン、海に至ってはシイラ、ボーフィッシュなんていうのも釣れると聞きます、海外に行けば想像を超える大物に出会えることもあるでしょう。

釣り人が好きなフィールドで、好きな魚を相手に、思い思いのスタイルで楽しめるのがフライフィッシングの良さでもあります。

私はフライフィッシングを始めた時から、渓流でアマゴ、イワナを釣りたいと決めていました。

木々に囲まれた渓流には、何か神秘的なものを感じます。

そして、そんな渓流に棲む魚たちには、何とも言えない美しさがあります。

渓流に来るたびに、今日はどんな魚に出会えるかと考えながら釣りをするのは、何とも言えない面白さがあります。

釣れないで帰ることもありますが、そんな日は次回の魚との出会いを期待し、こんどこそはと思わせてくれます。

時には川辺に住む生き物たちとの思いがけない出会があったり、それもまた楽しいものです。

幸いクマに遭遇したことはありませんが、出会い頭に突然ニホンカモシカが現れたときはドキリとしました。

シカと遭遇すると、しばらくこちらをじっと見ていることが多いですが、何を考えているんでしょうか?

確か映画スタンドバイミーに出てきたシカもそうでした。

もし言葉が通じるものなら聞いてみたいものです。

どんなフィールドでどんな魚を釣るのが好きですか?

 

底石が透き通るほどきれいな流れ、心が洗われるようです。

マイナスイオンで溢れた渓流は神秘的でもあります。

釣りの途中、物音に気付きふと前を見ると、じっとこちらを見ていました。

石に足を乗せようとふと見ると、こんな先客が。