第14話 フグイワナ

またひとつ、個性的なイワナとの出会いがありました。

写真のイワナ、顔つき、体色、体の模様から見て、イワナに間違いないと思いますが・・・

この体型どう見ても岩魚ではないと思いませんか?

体のシルエットだけを見て、イワナって答えられる人はまずいないでしょう。

上から見てもパンパン、横から見てもパンパン、前からは見ていませんが、間違いなくパンパンだったでしょう。

どう見てもフグのような体型です。

フグイワナっていう新種の魚かと思ってしまうほど太っています。

ちなみに、フグイワナとネットで検索すると、ブルックトラウト(カワマス)の別名ということが判明しました。

私はただ太っている姿がフグのようなので、そう命名してみたのですが・・・

この川でどんな食生活をしたら、こんな体になるのでしょうか?

また、この川のイワナの謎が一つ、やはりイワナという魚に対する興味は尽きないですね。

ただ、この魚との出会いは感動的なものでした。

サイトフィッシングで、あの手この手を使って、何とか釣りあげることに成功した魚です。

この川では、サイトフィッシングができる状況に魚がいることはまずありません。

このイワナを見つけてから釣り上げるまで、約30分間のことの顛末をお話しします。

フグイワナは流れの緩いプールのようなところでゆったりと泳いでいました。

魚の姿を確認した瞬間、釣り上げるのは容易ではないだろうと思いましたが、久々のサイトフィッシングの場面に興奮を抑えられませんでした。

できるだけ遠くから注意深くまず1投目、魚の鼻先にフライを運びますが、予想通り見向きもしません。

2投目、3投目と試みますがやはり反応がありません。

このときは5Xのティペットに13番のエルクヘアカディスを結んでいました。

これではダメなようなのでティペットを7Xまで落とし、フライを16番のアダムスパラシュートに交換してみました。

しかし、これもほとんど反応しません。

どうしたものかと思案の末、フライを18番のCDCダンへ、サイズとパターンを変更してみました。

しかしこれもほとんど無反応、ただ水面を意識しているのは間違いなさそうでした。

ここは大胆にフライサイズを22番(スレッドだけでボディを巻き、そこにブラウンのハックルを2~3回転パラパラっと巻いただけのミッジフライです。)に落とし、ティペットを8Xまで落とすことにしました。

22番に8Xの組み合わせは久しぶりで、老眼が進んだ自分にとって結び変えるのに一苦労です。

これでだめならあとは、ティペットを9Xまで落とすしかないかな?となるとまた結び直すのに一苦労だぞと思いながらフライをキャスト、フライは魚の頭上を素通りし、これでもダメかと思った次の瞬間です、魚はUターンし、追いかけるようにフライを食いました。

ヨシッと思い、素早く合わせフッキングに成功、フライがミッジということもあってバレることを心配しましたが、何とかその姿を見せてくれと心の中で願いながら慎重に魚を引き寄せ、無事にネットに納めることに成功しました。

ネットの中に納まった魚を見て思わず「何じゃこれは?」とつぶやいていました。

人間で言ったら間違いなくメタボです。

こんな太った体でよく軽快にUターンしてフライを食えたものです。

手を替え品を替え、やっとその努力が実った瞬間でした。

魚の体型にもびっくりさせられましたが、こういう楽しい釣りをさせてくれる魚との貴重な出会に感謝です。

いろんな意味でこのイワナも忘れられない一匹でした。

それにしても、自然の渓流でこんなフグのようなイワナ釣ったことありますか?

ありませんよね・・・。

2016年7月 岐阜県郡上市の渓流にて

 

フグのようなこの体型にびっくりです。

横からのシルエットもどう見てもイワナではありません。

フグイワナはこんな流れの緩いプールのようなところで悠々と泳いでいました。。

サイトフィッシングで活躍したフライたちです。