第6話 野生アマゴ

今回はアマゴの話です。

この日、前から気になっていた岐阜県でも有数な、アマゴ釣りの川を訪れました。

岐阜県山県市を流れるこの川は、漁協の管理が行き届いており、釣り人にやさしい川です。

入川口には手すり付きのコンクリートの階段があり、おまけにここから川へ下りることができますと書いた看板まで立っています。

さらに放流時には、この場所からアマゴを放流しますという看板まで立ちます。

川自体も落差のないフラットな瀬が続き、頭上も木が覆い被さっているところが少なく、竿も振りやすいフライフィッシング初心者にも釣りやすい川と言えます。

その反面釣り人も多く、釣るのはそう簡単ではないと覚悟しての釣行でした。

下流側は放流量も多く釣り人も多いと思い、放流されていない上流で野生のアマゴを狙うことにしました。

この川の上流にはごろごろの滝という観光名所があります。

その少し下流には、以前某テレビ局の人気番組で紹介された方の家があり、メディアでも取り上げられた場所です。

この日は、滝の少し下流から入川し釣り始めました。

釣り始めてから数時間、アタリが全くありません。

釣りをしている最中も、数人の釣り人が最上流を目指して川に沿った側道を歩いていくのを見ました。

想像以上に釣り人のプレッシャーが高い川のようです。

当たりの無いまま時間だけが過ぎて行き、今日はもう駄目なのかと思いながら写真のポイントに来ました。

白泡の切れ目にフライを投げると、着水したと同時に反応があり、合わせると確かな手応えがありました。

やっと来たー、長かったーとそう心の中で叫びながらネットに納めたアマゴは、小振りながら素晴らしい魚体でした。

緑がかった魚体に黒いパーマークと鮮やかな朱点、これまでに見たことのないきれいな、これぞ野生アマゴといった魚でした。

今まで釣ったアマゴの中で、ベスト3に入ること間違いなしです。

この日はこの一匹だけでしたが、久々のアマゴ釣りで、しかも初めての川で野生のアマゴとの出会いに大満足でした。

残念だったのはネットに魚体を横たえて写真を撮ったはずでしたが、どうも失敗したようで上からの写真しか撮れていませんでした。

もう一度あの美しい魚体をしっかりと見られないのが残念です。

写真を撮っていつまでも取っておきたい魚ってありますよね?

                      2015年4月 岐阜県山県市の渓流にて

 

引き締まった緑がかった魚体に、くっきりとしたパーマークと鮮やかな朱点。

野生アマゴが潜んでいた、白泡の切れ目のポイント。

この川の上流にある観光名所、ごろごろの滝。