mata’sフライフィッシング体験記

このブログは、私がフライフィッシングという釣りを通して遭遇した、様々な出来事を綴った体験記です。

第13話 穴倉の黒子イワナ

以前第9話で、黒子のような真っ黒なイワナのお話をしましたが、今回はその後日談です。

写真のイワナ、以前に釣った黒子イワナによく似ています。

体色もそうですが、鰭の形もそっくりです。

サイズは27~28cmといったところで、以前のより一回り大きいです。

前回の黒イワナを釣ってからまる1年。

イワナの寿命から考えて、去年釣ったイワナが大きくなってまた戻ってきたとは考えられないでしょうか?

前のイワナを釣ったのは、2015年6月、今回が2016年6月、2匹とも同じ6月に釣れているのも、また何かの巡り合わせのようなものを感じます。

渓流魚との出会いは一期一会だと思っていましたが、この時はなぜか以前に釣った黒子イワナがまた姿を見せてくれたのではという不思議な感覚に囚われました。

このイワナは、去年の黒子イワナが釣れた場所の近くの石に囲まれた穴倉の中に潜んでいました。

あれから知恵をつけて、外敵から身を守るためにこの穴倉に身を隠しながら、餌を捕食し、大きく成長していったのかもしれません。

こういうところは釣り人側からも狙うのが難しいポイントです。

しかし、慣れというのは不思議なもので、こういうポイントも何度も狙ううちに、一発で穴の中に入れられるようになるものです。

信じられないかもしれませんが、頭の中で穴の奥にフライを放り込むイメージをするだけで、体と手が自然に動き、キャストが終わった時には穴の奥にフライが入っているといった感覚になります。

ロッドをこの角度で、これくらいの振り幅で、そしてこの位置で手首を返してとかそういうことではなく、気が付いたら体が自然に覚えてしまっているといった感じです。

実際のフィールドで釣りをしていると、そういう感覚になる事ってありますよね?

この時も確か1投目で穴の奥に入り、釣れたと記憶しています。

少しキャスティングの話になりますが、自分は河川敷などでキャスティングの練習をしたことはほとんどありません。

周りにフライフィッシング経験者の知り合いがいなかったこともあり、自然の渓流で魚を釣りながらキャスティング技術を覚えていきました。

そういう経験をして思うことですが、求められるキャスティング技術は、どのフィールドでどの魚を釣るかによって変わってきます。

最低限の基本的なキャスティンを覚えたら、実際のフィールドに出て1回でも多くキャスティングすることが何よりです。

自分の場合は、通い詰めた渓流と、そこで釣れてくれた魚たちに必要なキャスティング技術を教えて貰ったというのが実感です。

フィールドにいる魚たちは、自分のやったことが正しかったのか間違っていたのかを教えてくれる何よりの先生ですよね。

この黒子イワナも自分にとって、正しいキャストができたねと言ってくれた、先生のような存在といえるかもしれません。

2016年6月 岐阜県郡上市の渓流にて

 

1年前に出会った黒子イワナが大きくなって帰ってきた気がしてなりません。

こんな穴倉の中には良型のイワナが潜んでいる可能性が高いです。